光ケーブル(光ファイバーケーブル)とは
光を利用した通信は、古来様々研究されてきました。
情報伝達に光を利用することは早くから考えられていましたが、これらは途中の伝送路が空間であるため、光が広がって散乱してしまうことから、長距離の電送は困難であり、わずかな短距離の通信用としてのみ適用可能な状態でありました。
今日も多く利用されている光ファイバーを用いた伝送路は、ガラスの中に光を閉じ込めて伝送するものです。1951年に開発された、最初の光ファイバーとも言える医療用のガラスファイバにおいては1000dB/km(3m進むと光のパワーが1/2になる)と、光の伝送損失が大きく、通信媒体としてはとても使用できるものではありませんでした。この光ファイバーを通信用いるための本格的な研究が開始されたのは、1966年のことです。これ以来今日まで、光ファイバー技術は低損失化の追求に向けて急速な発展を遂げました。
現在では、石英系ファイバーの理論限界近くまで低損失な光ファイバーを製造できるようになりました。
光ファイバーの仕組み
光ファイバーケーブルは、英語では(Optical fiber cable – オプティカルファイバーケーブル )と呼ばれます。
光ファイバー通信システムの基本構成は、一般に電話などの端末から送られる電気信号が、電気→光変換器(E/O、electrical-to-optical)により光信号に変換(電気信号の強弱は光信号の強弱に変換し、元のまた電気信号“1”、“0”は光の点滅に変換)され、光ファイバーへ送り込まれます。
光ファイバーの中を伝搬する信号は、伝送距離が進むにつれてそのパワーが弱くなったり、信号の波形が広がったりしながら、通信相手の光→電気変換器(O/E)へと届きます。光→電気変換器では、光を電気信号の強弱に変換し、元の電話などの信号に戻され、各端末器へ送られます。
電気→光変換器は、半導体レーザーや発光ダイオードの発光素子により実現され、光→電気変換器はフォトダイオードなどの受光素子により実現されました。
光ファイバー通信の特徴
- ●低損失・・・・・・
- 平衡対ケーブル、同軸ケーブルのいずれと比べても低損失
- ●広帯域・・・・・・
- 種類にもよりますが、同軸ケーブルに比べてはるかに高い周波数の信号を伝送できます。
- ●細径・軽量・・・
- 他の伝送媒体に比べ、細径・軽量。ファイバ1心の太さは、被覆を施して直径 0.25mmであり、同軸の1/30にあたります。従来のメタリックケーブルと同外径のケーブルでは、より多数の心線を収容でき、敷設にも非常に有利です。
- ●無誘導・・・・・・
- 石英ガラスなどのガラスは電気を通しません。外部(高電圧線やラジオなどの電波)からの電磁誘導がなく、適用領域によっては大きなメリットになります。
- ●省資源・・・・・・
- 光ファイバの主成分である石英は、貴重な銅資源に比べ比較的資源問題が少ないです。少量の原料で長尺の光ファイバが製造できる利点もあります。
光ファイバーは長距離でも安定的に、非常に高速な通信ができる技術です。通信が速いということは、1秒間に得られる情報量も多いため、例えば画像や動画などの重いデータもスムーズに取得できるわけです。
「光を導く細い繊維」という意味の光ファイバーは、細くて軽いという特長があります。
その構造は光を伝搬する中心部の「コア」と、コアの周囲を覆う「クラッド」という2種類の透明な誘電体の二重になっています。誘導体に金属は使われず、純度の非常に高い石英ガラスやプラスチックといった導電性のない物質が使用されています。
光は全反射という現象を利用し、光の信号をコアの中に閉じ込めた状態で伝送します。光の伝わり方は、コアとクラッドの屈折率の差、コアの太さが関係し、特定の角度の反射を繰り返しながら光は進んでいきます。この角度を伝搬モードと呼びます。つまり、モードとは光の通り道です。
光ファイバーは、光の伝搬モードの数によって、シングルモードファイバー(SM)、マルチモードファイバー(MM)の2種類に分類されます。SMは長距離通信に向いており、MMは主にLANなどの内部通信に利用されます。
光ファイバーの分類
主要な光ファイバーは、以下の5種類。
ステップインデックス・マルチモード光ファイバー(SI)
グレーデッドインデックス・マルチモード光ファイバー(GI)
汎用シングルモード光ファイバー(SM)
分散シフト・シングルモード光ファイバー(DSF)
非零分散シフト・シングルモード光ファイバー(NZ-DSF)
シングルモードとマルチモードに大別され、コアの屈折率分布によって更に分類されます。
これらの中で、LANに使用するのは主に「グレーデッドインデックス・マルチモード光ファイバー(GI)」と「汎用シングルモード光ファイバー(SM)」です。
MMFマルチモードファイバー
光ファイバーには何通りかの光の伝搬の仕方がありますが、複数のモードを通す光ファイバーをマルチモード光ファイバーといいます。
MMFはコアの屈折率分布によってステップインデックス(SI)、グレーデッドインデックス(GI)の二つに分けられます。
SMシングルモードファイバー
- ●汎用シングルモード光ファイバー
- コア径を小さくすることにより、1つのモードしか通らなくした光ファイバー。波長1310nmで零分散波長になるように設計されており、伝送損失が低いです。またマルチモードのようなモード分散がないため、光信号に歪みはありません。高品質で安定した通信ができるため、幹線網、高速、大容量のシステムに適します。
- ●分散シフトシングルモード光ファイバー
- 伝送損失が1310nm帯よりも低い1550nm帯に分散波長がゼロになるようにずらし、高速・大容量の通信を行えるようにした光ファイバー。中継系や海底ルートなどの長距離伝送に適しています。
- ●非分散シフトシングルモード光ファイバー
- 波長の分散がゼロになるところを1550nm帯から少しずらすことで1550nm帯での波長分散の傾きを抑えた光ファイバー。大容量波長分割多重(WDM)伝送に向いており、メトロ、地域といった超高速の長距離ネットワークに適しています。
光ファイバーの種類と伝送速度、伝送距離
光ファイバー MMとSMの違い
<光ファイバーの種類と光の伝わり方>
光ファイバーの中の光の伝わり方は、光ファイバーのコアとクラッドの屈折率の差、コアの太さなどの関係から、ある特定の角度の反射だけが、反射を繰り返し、伝わっていきます。この特別な角度を「光ファイバーの伝搬モード」といいます。この角度が多数ある場合をマルチモード光ファイバー、ただ一つだけが許される場合をシングルモード光ファイバーといいます。
マルチモード光ファイバーの中には、コアの屈折分布をゆるやかに変化させた「グレーデッドインデックス光ファイバー(GI)」があります。
光通信で一般的に使用される光ファイバーは、シングルモード(SM)型光ファイバとGI型光ファイバーです。
光ファイバーの特徴と用途
GI型光ファイバー | SM型光ファイバー | |
---|---|---|
コア径 | 50、62.5μm | 9〜10μm |
クラッド径 | 125μm | 125μm |
主に使用される波長 | 0.85μm | 1.31μm、1.55μm |
伝送容量 | 中 | 大 |
用途 | 短距離 | 距離 |