同軸ケーブルの減衰・損失
同軸ケーブルは、性能と用途をよく理解し、最適なものを選定して使用する必要があります。そうしないと、ケーブルの特性を最大限に活かすことも出来ず、すぐに寿命になってしまったり、通信がうまく行かなかったりします。
減衰とは
減衰とはケーブルの長さに伴う電気信号の損失。長さが延びることによって信号が弱くなっていく、ということです。
R高周波(RF)信号がケーブルを通過すると、信号は熱エネルギーとして失われたり、外部導体を通ってケーブル外に漏出したりします。減衰するわけです。
高周波伝送の場合は、周波数が高いほど減衰の量も増えます。90MHz帯を使用するVHFの電波よりも、高周波帯の1300MHz帯を使うBS(衛星放送)の電波の方が、減衰は大きいです。
このため、衛星放送受信など長距離の伝送をする場合、減衰を低く抑える対策が必要です。
減衰量はケーブル内の銅など導体による損失、絶縁体による誘電損失によって決まります。導体損失はケーブルが太くなれば低くなり、減衰量は減少。誘電損失は周波数が高くなれば、大きくなります。
つまり、高周波帯の長距離伝送の際は太いケーブルを使ったり、減衰量が小さい高発泡ポリエチレンなどの絶縁体を使用した高品質のケーブルを使用したりすることを考えなければなりません。 S-7C-FBなどの同軸ケーブルが有効です。
主要な同軸ケーブルの減衰率
名称 | UHF 470MHz | UHF 770MHz | BS 1300MHz | CS 2000MHz |
---|---|---|---|---|
3C-2V | 0.28 | 0.37 | - | - |
5C-2V | 0.2 | 0.29 | - | - |
7C-2V | 0.15 | 0.2 | - | - |
3C-FV | 0.24 | 0.33 | - | - |
5C-FV | 0.15 | 0.21 | - | - |
5C-FB | 0.14 | 0.19 | 0.27 | - |
7C-FB | 0.1 | 0.14 | 0.2 | - |
S-4C-FB | 0.18 | 0.24 | 0.32 | 0.41 |
S-5C-FB | 0.15 | 0.19 | 0.26 | 0.34 |
S-7C-FB | 0.11 | 0.14 | 0.19 | 0.25 |
<減衰が少ない条件>
- 網線直径が大きいほど減衰は少なくなります。
- 絶縁体の素材が高品質なほど減衰は少なくなります。(2<F<HF)
- 外部導体の層が多いほど減衰は少なくなります。(V<W<BL・T)
直径に関しては、接続先に合うものを選ぶ必要があります。購入の際は、絶縁体の素材と外部導体の層で比較することになります。
損失計算
FT(dB)=F(dB)+L(dB)
FT:総合雑音指数、F(dB):アンプ単独の雑音指数、L(dB):損失分
損失(DB) | 損失係数 | 減衰比(%) |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
-0.01 | 0.002 | 0.2 |
-0.05 | 0.011 | 1.1 |
-0.1 | 0.023 | 2.3 |
-0.15 | 0.034 | 3.4 |
-0.2 | 0.045 | 4.5 |
-0.5 | 0.109 | 10.9 |
-1 | 0.206 | 20.6 |
-2 | 0.369 | 36.9 |
-3 | 0.499 | 49.9 |
-6 | 0.749 | 74.9 |
同軸ケーブルにおいて、この損失をいかに小さくするか、が重要になってきます。低損失に特化し、外部ノイズを大幅にカットするケーブルもあります。屋外での敷設や、無線LANアンテナなど、低損失が要求される場合など、多くのシーンで活用されています。